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個別記事の管理2013-05-11 (Sat)
サクタロウの写真撮りが終わり、ホッと一安心していたのがよくなかったのかな・・・。
このブログで悲しい記事を書かないといけない日がきました。

書かないという選択もできましたが、この馬が生きて、そしてオーナー様と私たち夫婦がこの馬をどれだけ可愛がってきたかをこのブログを読んでいる方々に知ってもらおうと思います。

ディアスマイルこの馬の名前です!!生まれる前からオーナー様夫婦が決めていた競走馬名でした!

スマイル1
ディア君は、初仔でした。ヴァーミリアンの産駒でした。
お母さんは初子を産むの??というくらい立派なお腹で、出産まで良く食べ運動する元気な繁殖馬でした。
出産は難産のほうで、直腸を破り肛門から出てきそうなところを主人が頑張って助けました。

初仔とは思えないくらい立派な馬体で生まれてくれたディア君。
元気に育ってくれていました。
なかなか、人間になつかない馬で、無口の付け外しが大変でしたが、少しずつコツコツと習得できる馬なんだろうな♪と、思っていました。 お鼻の穴が大きくて・・・興奮すると全開のお鼻が可愛い馬でした。
仕事を手伝ってくれている妹から電話がくるまでは・・・
「お姉ちゃん!すぐきてくれない?子馬が1頭なんかおかしい・・・。」

放牧地で普通に立っている親仔・・・ディア親仔・・・
ディア君の左トモが折れていました。
主人も診療所から帰宅、獣医師もかけつけ、オーナー様に電話し最悪の結果を選択しました。

・・・・ん~~~~、何度も馬の死という場に立ち会ってきました私ですが、こんな小さな命が目の前でなくなることは初めてです。悲しい・・・悔しい・・・そればかりです。
なんで?どうして?そればかりです。
獣医師の話ではたいていこういったケースは親の蹴りだそうです。
確かに母馬は足癖が悪い馬でしたが、ずっといいママをしていました。ただ、集団の中に入るとリーダー争いになるのか?他馬と蹴りあうことはありました。その1発が自分の仔にあたったのでしょう。

防ぎようのない事故でした。

アグリが5月4日にデビューしました。この馬もまた防ぎようのない事故で怪我をした1頭でした。
色々なことが重なってここまでデビューが遅くなりました。
大きく出遅れの最下位でしたが、無事に生産馬がデビューできたことを私は誇りに思っています!

3日ディア君が天国に旅だった日。
デビューしたくてもできなかった馬がいます。普通に当たり前に競走馬になれることがどれだけ大変なことか・・・先日、父が生まれた当歳馬を前にしてある調教師に言った言葉があります。
「あたりまえにトレセンの厩舎に入っていると思うだろう。馬はそんなもんじゃない!生産者は大変な想いをして送り出すんだ。弱い馬もいる、それを手をかけて時間をかけて競走馬になれるようにするんだぞ。」

重みあります・・・。牧場をはじめてからよくわかります。
責任の重さ・・・オーナー様の愛馬を無事に育成という次のステップへ送り出せるように、できることを精一杯やっているつもりですが、こういった事故があることも理解していただきたいと思います。

ディア君のオーナー様奥様のお手紙より
涙があふれました・・・1文を紹介いたします。

「命あるものは生日あれば死日もあります。これはディアちゃんの運命です。誰かの仔馬がこのようなことになるのなら私たちの仔で良かったと・・・なぜならば、今まで生きてきた中で、苦しみや悲しみの後には喜びがあり、その喜びが数倍大きいものだから。」

こんな考えをもった方が、私たちの側にいるんです。

くよくよしていたらディア君からも罰があたります!!ディア君の分まで同期の馬たちを競走馬にして、活躍してもらえるよう今を頑張ろうと思います。
馬を通じて、馬の勉強はもちろんのこと、人間としても成長できる方と出会えることもこの世界の魅力だと感じます。
スマイル1
ディア君親仔は、このオーナー様の馬で幸せだと思いました。
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* Category : 繁殖
* Comment : (3) * Trackback : (0) |

宿命 * by 茶々丸
競走馬として生まれ、ターフに発てずに淘汰される
厳しい世界ですね。
この母馬は、必ず馬主孝行な仔を生みますよ!!
来年も丈夫で大きな仔が生まれることでしょう。!!
しかも2馬力はある仔が生まれるでしょう。

初夏 * by Chie
離れているのに、貴女の思いが、心に刺さり涙が出てきました。どんなに感動的な小説や映画より、
実体験ほど 感動するものは、ありません。
弱い馬も居る 人間も同じです。弱いからこそ、
心は強くなりたいんです。一緒に頑張ろうね。

* by 陽子
茶々丸さんへ
茶々丸さんと奥さんの温かい手に触れてもらいたかった。2馬力の馬を生産しないとですよね!
ディア君の分まで・・・ディア君との格闘の思い出!忘れません。

Chieさんへ
生きているもの、きっとこれから先も、こんな悲しいことが起こると思っていますが、1頭の馬を無事にステップアップできなかったことが悔しいです。
みんな、愛情をかけて、おまえは勝つぞ!走るぞ!という気持ちで接していますから。
主人もずっとみてきている獣医師も私も言葉なしの静かな厩舎でディア君の最後を見守りました。
はい!一緒に頑張ります!